- 美しいジャーマンカーブ・デザイン
- 薄く低いフレット
- 細いネック
- 極端に高出力なピックアップ
ベンチャーズモデルは、モズライトのフラッグシップモデルになります。
モズライトのストーリー
創業者のセミー・モズレーが、リッケンバッカーとBIGSBYで修行した経験を生かして創業された楽器メーカーが『モズライト』。
そのため、リッケンバッカーからはジャーマンカーブボディの技術、BIGSBYからはブリッジ(VIBRAMUTE)製作のノウハウが生かされています。
Mosriteの社名は、創業者セミーモズレーと出資者であったレイ・ポートライトの名前に由来します。
ブランドが軌道に乗ったのは、米国のインストルメンタルバンド「ベンチャーズ」のノーキー・エドワーズと出会い、ベンチャーズモデルを製作した60年代から。
しかし、セミー・モズレーにはビジネスの才がなく、1968年には破産してしまいます。2年後の1970年にブランドの権利を買い戻しますが、その後、ヒット作はなく、セールスは日本のファンに向けたベンチャーズモデルタイプがメイン。
そして1992年にセミー・モズレーが死去。セミー・モズレーが亡くなった後も、妻のロゼッタ・モズレーは1994年までモズライトの生産を続けます。そして、1994年に再度倒産。
一方、日本国内に話を移すと、1968年に日本のファーストマン社がセミーモズレーと契約し、モズライト(Avenger)を製作。モズライトの倒産の煽りを受けて、1969年にファーストマン社も倒産。
しかし、ファーストマン社の下請け会社だった黒雲製作所はモズライト製作を継続。
1992年にフィルモア楽器(株式会社フィルモア)が、モズライト社を再建したセミー・モズレーと契約。同年にセミー・モズレーが死去。
その後、黒雲製作所とフィルモア楽器は権利関係で訴訟に。2007年の判決で、両者に権利がないことが確定。その時に、権利者と判断されたのがセミー・モズレー夫人のロレッタ・モズレー。
2009年、モズライト工場で働いていたクラフトマンを集め、京都に工房を設け、モズライト社(Mosrite Inc、MosriteUS)を再建。フィルモア社と米国のモズライト販売の代理店だったエド・ローマンギターを相手取って、米国合衆国連邦裁判所に提訴。ここでも、ロレッタ・モズレーの権利が認められる。
現在、黒雲製作所、株式会社フィルモア、モズライトUSの三者がモズライトを販売。
このような複雑な事情のため、現在、セミー・モズレーが製作した1992年以前のリアル・モズライトは、100万円を超える高値で取引されています。
年表
年 | リリース |
---|---|
1963以前 | 「Joe Maphis model」を発表 |
1963 | 「The Ventures Model」を発表 「Ventures Bass」を発表 「Mark Ⅻ」を発表 |
1965 | 「The Ventures Ⅱ Model」を発表 ※「スラブボディタイプ」と「ジャーマンカーブボディタイプ」の2種類有 |
1966〜1968 | 「The Ventures Mark Ⅴ Model」を発表 「Celebrity(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)」を発表 「Combo」を発表 「Balladere」を発表 「Serenade」を発表 |
1967 | 「ベンチャーズ」とのライセンス契約が終了 |
1968 | 最もギターを生産した年 日本のファーストマン社とライセンス契約し、「Avenger」を発表 この年の後半にモズライト社は倒産 |
1969 | ファーストマン社倒産 ファーストマン社んの下請けであった黒雲製作所がAvengerの生産を継続 |
1970年代 | 「Bluesbender」を発表 「300」を発表 「350」を発表 「Acoustic Black Widow」を発表 「Sooner model」を発表 |
1970 | モズライトの権利を買い戻す。「Ventures」ロゴが無くなる |
1976 | 「Brass Rail」を発表 「Brass Rail Deluxe」を発表 |
1988 | 「V88」を発表 「M88」を発表 |
1990 | 「The Nokie Model」(ノーキー・エドワーズ・モデル)を発表 |
1992 | フィルモア楽器がセミー・モズレーと契約 創業者セミー・モズレー死去 |
1995 | フィルモア楽器が「The Ramones Model」(ジョニー・ラモーン・モデル)を発表 |
ベンチャーズモデルのラインナップ
ベンチャーズモデルのラインナップには、次のようなものがあります。
モデル名 | 内容 |
---|---|
The Ventures Model(Mark I) | 6弦エレキギター |
The Ventures Ⅱ Model(Mark Ⅱ) | 「Mark Ⅰ」の廉価版 |
The Ventures Mark Ⅴ Model (Mark Ⅴ) |
「Mark Ⅱ」のアップグレード版 |
Ventures Bass(Mark Ⅹ) | 4弦エレキベース |
Mark Ⅻ | 12弦モデル |
この他には、ベンチャーズモデルの類似デザインとしては、「Gospel」「Mark Ⅳ」「The Nokie Model(ノーキー・エドワーズ・モデル)」「The Ramones Model(ジョニー・ラモーン・モデル)」「M88」「V88」などがあります。
モデル紹介
モズライトは、ベンチャーズモデル以外にも、さまざまなモデルを発表しています。
- Joe Maphis model:ジョー・メイフィス・モデル
- The Ventures Model(Mark Ⅰ、Mark Ⅱ、Mark Ⅴ、Mark Ⅹ、Mark Ⅻ):ベンチャーズ・モデル
- Celebrity(I、Ⅱ、Ⅲ):ホロウボディのギター、ベース、12弦
- Combo:セミホロウボディのギター、ベース、12弦
- Balladere:アコースティックギター
- Serenade:アコースティックギター
- Bluesbender:6弦エレキギター
- 300:テレキャスタータイプのギター(1ピックアップ)
- 350:テレキャスタータイプのギター(2ピックアップ)
- Brass Rail:指板にブラスが取り付けられたギター
- Brass Rail Deluxe:上記のアクティブサーキット仕様&2ジャック
- Acoustic Black Widow:ジミ・ヘンドリクスにも弾かれたエレキギター
- Sooner model:テレキャスタータイプのギター
- V88:ベンチャーモデルの復刻版
- M88:ベンチャーズモデルの現代版
- The Nokie Model:ノーキー・エドワーズ・モデル
- The Ramones Model:ジョニー・ラモーン・モデル
モズライトがDobroを製造?
1960年代にセミー・モズレーがリゾネータギターで有名なDobro社を買収します。
そして、一時期、モズライト社がドブロを製造・販売していました。
その後、1968年の倒産と同時に清算され、1970年にDobro社は買い戻されます。
この時期のDobroは、価値があるかもしれませんね。