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CIAと秘密活動

「CIAは1950、60年代にかけ、主要秘密工作のひとつとして日本の自民党に数百万ドル(当時は1ドル=360円)の資金を援助していた。目的は日本に関する情報のほか、日本を『アジアでの共産主義に対する砦(とりで)』とし、左翼勢力の弱体化を図ることだった」(ワシントン10月8日発のニューヨーク・タイムズの記事の骨子)
「昔のことで、党職員に調べさせたが、そんな事実はない。迷惑な話だ」(自民党森喜朗幹事長の話)

CIAと秘密活動
CIAは1947年の国家安全保障法で、大統領直属の情報機関として設立された。同法に「国家安全保障に影響するその他の機能を時に応じて果たす」とあるのが、CIAが秘密活動に従事する根拠だ。その後、数度の大統領令などで、国家安全保障会議NSC)の政策決定を受けてCIAが秘密活動を集行する枠組みが定まった。それは大きく宣伝、政治工作、軍事作戦などに分類され、初期の典型的な政治工作としては、48年のイタリア総避挙でキリスト数民主党にてこ入れした例がある。

史料集「合衆国の外交」の中の章「日本・1961年−63年」に収録する予定の公文書。


ワシントン6日=梅原季哉】米ケネディ政権(1961年−63年)下でつくられた公文書の中に、日米両国政府の間に核兵器を搭載した艦船の日本寄港に関する合意があったことを裏づける複数の資料があり、米中央情報局(CIA)による自民党への秘密資金援助を示す公文書と共に、この8月の機密解除の最終的な法的期限が過ぎても公開されていないことが、朝日新聞社の調べで6日、わかった。公文書は原則として30年後までに機密を解かれるが、解除文書を取り込んで編集される同政権期の対日外交文書集が、いまだに刊行が決まっていない。
歴史・法学者らからなる米国務省の「外交史料諮問委員会」は「問題となった日本関係の公文書が非公開のままなら、正確な歴史は反映できない」と、日本関係の章の刊行自体の取りやめを勧告するという異例の措置までとっている。



在日CIA工作の全体的な実態および陣容

85年5月ボンで行われた中曽根・コール両首相の日本・ドイツ首脳会談の際にはCIA要員もボンに出張、会談直後に中曽根氏の側近からその内容を入手するといった方法。レーガン米大統領が中曽根首相にゴルフクラブを贈る際、好みをCIA要員が調べ、ロン・ヤス関係演出に一役買った。
自民党の中では金丸元副総裁がCIAに協力的だった。90年9月の金丸氏による北朝鮮訪問の前後には、同氏と親しかった中尾宏・元衆院議員(92年7月死去)が訪米、CIA側に状況を説明したという。

報酬受け提供「考えられぬ」 自民事務局長
米中央情報局(CIA)に関する共同通信の報道について、名前をあげられた中曽根康弘元首相の事務所は、「CIA要員であるかどうかは別にして米大使館員との交流は昔からあった。しかし、こちらから情報を提供するということはなかった」と話している。
また、自民党の村口勝哉事務局長は「議員が報酬を受け取って情報を提供するということは考えられない」と話している。(朝日新聞 1995/01/06)

諜報活動の重点項目として、政治、経済、宗教、陸海軍、国際関係を挙げた。
具体的には、東京・横浜、神戸・大阪・京都、札幌、名古屋、長崎など日本全体で工作員は当面17〜20人とし、日本を南北2つに分け配置を検討した地図や、予算案を作っていた。
工作員には企業からの引き抜きが適当として、その候補として、戦前に拠点があった米国企業の所在地や代表者名を記したリストも付けていた。

また、1995年1月5日付けの共同通信では、次のような報道もありました。

>CIAは、日本国内に最盛期には百人以上、現在も60人という在外支局としては世界で最大級規模の要員を配置し、自民党社会党の議員、政府省庁職員、朝鮮総連本部、左翼過激派、商社員らに定期的に報酬を渡して秘密の情報提供者として確保してきたことが、複数のCIA関係筋の証言で明らかになった。<

>政府情報機関では、第一に首相の動向が最大の関心事。CIAは、歴代首相の側近、周辺につねに情報提供者を確保してきた。日米間の貿易交渉をめぐっては、主に通商代表部の要請を受けて、CIAが日本側の交渉態度を探るのが通例。88年6月に決着した牛肉・オレンジ市場開放交渉では、農林水産省の情報提供者から『日本の最終譲歩リスト』 を入手していた、と別の関係筋は証言した。<

>電気通信分野の交渉に関連しても、郵政省の内部やNTT、さらに通産省内部からも情報を得ていたという。日本企業のハイテクの軍事的側面も調査、京セラや大日本印刷宇宙開発事業団三菱重工、石川島播磨工業などが調査の対象となった。<

こういった事実に対して、日本の新聞などのマスコミも、外国メディアからの配信という形で報道はしたようです。しかし、自国の不利益になること、しかも非合法な手法が取られていたにもかかわらず、政府や日本のマスコミはさらに深く追求した形跡はありません。槇原賢二さん

岸がCIAから資金提供を受けていたという記事が掲載された。文春では『LEGACY of ASHES The History of the CIA』の紹介がなされている。翌年に文藝春秋で訳が出版された。

岸信介はCIAの助けで日本の首相になり、支配政党の首領になった」 
 
 ニューヨーク・タイムズ紙のピュリッツアー賞受賞記者、ティム・ワイナー氏の近著、作、『灰の遺産 CIAの歴史』