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人事院は、内閣の「天の声」

日本の陰謀 (156)

先日たまたまネット上のニュースで右の写真を見つけた。びっくりした。立場が逆転している。一般に、物を授与する時、一対二で向かい合えば、一人の方が「格上」だ。そうすると、

人事院総裁は、官房長官と総務副大臣を足しても「格上」だということになる。おそらく、首相よりも格上なのだろう。

この写真から強く受ける印象は、内閣の人事も人事院が決めているということだ。言われてみるとうなずけるのだが、マスコミから長く洗脳された日本人にはなかなか受け入れられない。
人事院谷公士総裁(左)から、今夏のボーナスについて臨時勧告を受け取る河村官房長官。右は倉田総務副大臣

この人事院総裁は、地元の江戸時代の藩主の一族で、地元大政翼賛会を牛耳った人物にそっくりだ。似たような環境にいると人間は容姿まで強く影響を受ける。最近は、人を顔で差別することにしている。口は裏切るが、顔は裏切らない。顔には人間の生きざまが深く刻まれている。

■ 中立公正

日本には中立公正を旨とする組織が数多くある。

だが、この中立公正が、いかがわしい。そもそも「中立公正」などという概念が流動的だ。生物が地上に発生して以来、人類が誕生して以来、この概念は常に変動してきた。ある時点では、「人食い」も中立公正だったわけだ。しかも、現代の社会では、その概念は極めて流動的だ。ある人は「武士道精神」と言い、ある人は「儒教の精神」と言い、ある人は「現代の民主主義」だと言う。

だが、問題点がずれている。行政とは、大規模な人間の組織的運営だ。その哲学などはあまり意味がない。意味があるのは、「権利」と「義務」のバランスだ。

歴史的に振り返ると、現在ほど為政者の権力が強大な時代はない。

原始時代、支配者はいたが、ほとんど集落共同体の取りまとめ役のようなもので大した権力はなかった。エジプトや古代中国に始まる王朝制度では、為政者は大きな権力を手にするが、権力が腐敗すると、いつでも民衆が蜂起したり、隣国の王朝が攻め込んできた。それゆえ、ある意味で、「中立公正」は維持された。それは、道徳の観点ではなく民衆との力のバランスだった。

ところが、権力者は徐々に権力の強大化を模索した。それは、条約を作り、隣国の権力者が攻め込ぬことを防止した。国内では法律を作り、国民を縛った。これで、外国の攻撃も国民の蜂起も起こらない。

それゆえ、現代は、歴史上為政者が最も権力を享受する時代だ。しかも、情報操作で、一般大衆を見事に欺く。

■ 中立公正という詐欺

ほとんど詐欺と言っていいのだが、中立公正であるがゆえに、マスコミは報道せず、情報も開示されない。政治家は、一切口に触れない。だが、この体制は、実は明治維新から、いや江戸時代から巧妙に作り上げられた体制だ。日本の諸悪の根源はここにあると言っていい。日本では、絶対に犯罪を起こしそうにない組織に「犯罪の拠点」を置く。実にうまい考えだった。これは、国家だけではない。地方や、小さな組織まで浸透している。いくつか国家的事例を取り上げてみる。

日本銀行   最高裁判所   マスコミ   食品安全委員会   審議会   教育委員会   公安委員会

人事院総裁一人を取り上げても、その権力は絶大だ。人事院総裁は内閣が選任するが、解任することができない。これは、つまり、内閣は人事院から「特定の人間の選任」を命ぜられていることを意味する。とんでもない話だ。このことさえ多くの国民は知らない。

■ 実態のわからない労働組合

一方で公務員法と人事院に守られながら、一方で組合がある。日本の労働組合は本当に実態がわからない。日本では、実態がわからない組織は、ほとんどインチキだ。ネット上で二つの組合を見つけたが、わけがわからない。組織とは、その設立の経緯、他の組織との相違点、目的が明白でないと意味がない。それが全くわからない。つまり、あなたは、何故その組織に属しているのと尋ねても、多くの会員が答えられないのだ。

国公関連労働組合連合会   日本国家公務員労働組合連合会